※画像は、イメージです。

会社へは自転車通勤をしている人がけっこういます。そうですね、だいたい30人に一人ぐらいの割合で。それって多いのか少ないのかわかりませんよね。でも、東京で働いているとき、自転車通勤をしている人は周りに誰もいなかったので、それに比べれば30人に一人はかなり多いほうでしょう。

自転車通勤をしている人たちは皆、スポーツタイプのカッコいい自転車で競輪選手みたいに颯爽と通勤して来ます。ママチャリはいません。山チャリ(マウンテンバイク)はたまにいます。皆わざわざ競輪ユニフォームとでもいうのか、レオタードを洗濯し過ぎてツンツルテンになったみたいな丈の短いピチピチスーツ着こんで、とんがりヘルメット被って、汗いっぱいかきながら通勤してきます。本格的ですね。

なんでママチャリはいないんですかね?いや、べつにママチャリじゃなくてもいいけど、なんで自転車に乗るとき、よーし、自転車乗るぞ!という気合のこもった格好しなきゃならないんですかね?

前からずっと不思議に思っていました。もっと気軽に自転車に乗れないのかと。

通勤だけじゃなくて、こちらの人は基本的には「自転車に乗る」ということが日常と切り離された特別な活動になっているようです。なんて言うんだろう、水にもぐるとか、空を飛ぶ、みたいに。つまり、スキューバダイビングやスカイダイビングが日常の人もいるにはいるだろうけど、でも一般的には、それはかなり特別な活動であって、それ相当の格好をしますよね。

でも、自転車はべつにいいじゃないですか、日常の一部で。私は高校生のときは毎日学生服着て自転車通学していたし、会社勤めしているときもたまにネクタイ締めたスーツ姿で駅まで自転車で行ったことがあります。なんてことは、わざわざ説明しなくても、そんなの日本のごくありふれた日常風景ですよね。

こちらではそんな人いっさい見かけません。自転車に乗っている人は誰でもそれ専用の格好をして必死こいて汗だくでペダル踏んでいます。自転車通勤の人は会社に着いたあと着替えているようです。

何ごとにも本格的に取り組むのは良いことだけど、なんか気軽に乗れない自転車がちょっともったいないな。

そういえば、道路では、自転車は車と同じ立場らしいです。つまり、オートバイみたいに車道の真ん中を堂々と走ってよいということです。でも、現実にはそんなふうにして車の流れを遮断することはできないので、車道の端に寄って走り、車は横を通り過ぎていきます。その点は日本と特に変わりありません。

日本と違うとすれば、車道の端に寄る寄り方がすこし少ないような。そして、よける車のほうが遠慮気味に充分すぎるぐらいの間隔を空けて、大きくよけます。

自転車の立場が日本より高いということですね。そりゃあそうです。あんな大袈裟な格好して真剣に漕がれたら、車だってひきます。轢くんじゃないですよ。退(ひ)くんです。

日本の自転車はごく日常的なものだから、車もいちいちひいてられません。自分は高校生のとき、うしろから走ってきた車のフロントガラスに肘を打たれたことがあるし、信号で止まったら、車のタイヤに足を踏まれたこともあります。それでも、人ごみでちょっと肩が触れた程度の感覚でやり過ごしました。慣れとはおそろしいもんです。