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勤め先の同僚に節約の達人がいます。最初、彼がその道の達人だとは気付かなかったのだけど、いろいろ話しをするうちに、もしやこのお方は?という気がしてきて、さらに、親しく接するうち、確信を強めました。 いちおう申し添えておくと、彼は決してケチなのではありません。達人なのです。

彼がどのように達人なのか、いくつか例を挙げてみましょう。

例1: 有料駐車場は一切利用しない

一年前、会社が都心に移転し、社員専用の駐車場がなくなったとき、誰もが、仕方ない、有料駐車場に停めるか、と諦めたのに、彼は諦めませんでした。まず10時まで駐車可の路上に停め、その後10時から16時まで駐車可の路上へ移動、さらに16時以降駐車可の路上へ移動という具合に、路上駐車の時間差攻撃で毎日を凌いでいます。仮にも会社員たる者、一日二回も仕事を抜け出して車を移動するなんて、そんなこと続くわけがない、と誰もが思ったのですが、彼は一年経った今でも毎日それをやり通しています。

例2: インターネットオークションの徹底活用

ネットオークション未経験の私は最近、ネットオークションをよく利用するという彼の話しを聞き、目からうろこが落ちました。ネットでは、近所のスーパーの商品券まで競売にかけられているのですね。例えば、彼は100ドルの商品券を70ドルで買い落とし、そのスーパーだけで特別に2割引きで売っている国際電話コールカードを商品券で購入し、田舎の両親(海外)への電話はすべてコールカードで済ませているそうです。

国際電話は直接ダイヤルせずにコールカードを利用したほうが割安だということは私も知っていました。しかし、そのコールカードを実額で買って電話代を浮かせた気分になって満足していた私は、彼の足元にも及びませんでした。割引きカードを見つけ出し、それを直接買わずに割引きクーポンで買う割引きの相乗効果。さすが達人。

このほかにも、帰省時にケーブルテレビのサービスを一時停止するとか、ガソリンスタンドのメンバーカードを数種類使い分けるとか、彼から学んだ節約テクニックは枚挙に暇がありません。

例3: ただめしは必ず食う

会社では年2、3回、社員の親睦会みたいな自由参加の行事が催されるのですが、彼はどんな行事でも食事付きなら必ず出席します。例えばゴルフ大会。ゴルフとは無縁の私ははなから参加など考えませんでしたが、参加を申し込んだという彼に、へぇ、ゴルフやるんだ?なんて無邪気に話しかけたら、やらないよ、とあっさりいなされました。彼がゴルフをやったのは後にも先にもあのときだけのようです。

この夏はディナークルーズが予定されているのですが、親会社や顧客との情報交換会という名目になっていて、なんだかそれほど楽しそうな感じではなく、参加を躊躇している人も多いです。誰か親しい人が行くんなら行こうかな、なんて優柔不断な私が彼に、行くの?と尋ねると OF COURSE!の一つ返事。親会社がいようが取引先がいようが、"ディナー"をもくもくと食べるのみ、なのだそうです。

「行かないって言ってる人もけっこういるよ」と伝えると、彼は、

「えー、もったいない!だったら、申し込むだけ申し込んで、そのぶんのチケット譲ってくれないかな・・・。ワイフを連れて行くのに」

と言いました。「でも今回の行事は、家族は参加できないことになってるよ」と言うと、

「家族かどうかなんて誰にもわからないでしょう。口きかなきゃいいんだから」

「えっ、口きかなかったら連れて行く意味ないじゃん」

「そんなことないよ。ディナーと景色を堪能すれば、別行動でも充分楽しめるだろう」

とのこと。さすが達人。やはり考えることが違います。

でも、船降りてから奥さんと仲良く一緒に帰るところを誰かに見られたら、浮気していると思われるんじゃなかろうか。達人危うし。つづく